組み上がってみると全長20センチぐらいで、思っていたより小さい印象です。箱の写真で受ける印象と比較してそう感じるのではないかと思います。ウエッジが利いたスタイリングでカッコいですが、フェンダーが真っ白なので、ステッカーを貼らないとさみしい感じがします。私はステッカーに依存しないモデリングがいいと思っていますので残念です。
フェンダーに使われている2種類のパーツは初めて見るものです。まず、材質はABSではありません。やわらかいので多分PPではないでしょうか。大味な造形でオリジナリティもなくLEGOらしさが感じられませんが、これのおかげで今までにない勢いが出ていることも確かです。
それにしてもこのパーツ、整形が良くありません。パーティングラインも気になりますし、突き出しピンの穴も見えます。
他のTechinicパネルと色もあっていません。写真ではわかりにくいですが、従来の物がすこしクリーム色であるのに比べて漂白したような真っ白です。
また、PPなのでしかたないのかもしれませんが、エッジ部分の崩れもありました。こういうのって、今までLEGOではあまり見たことがありません。
走らせて遊ぶことを考えると柔軟性のあるパーツを使うことは適切だと判断出来ますが、品質が伴っていないのでLEGOとしては落第だと思います。
こちらは従来からあるTechnicパネルですが、飽きない形をしています。よく見ると表面が軽い梨地仕上げでやわらかい光沢があります。厚みが全体的に均一になっており、丹念に作られた感じがします。一見ポッチルールから外れているように見えますがちゃんと合っています。この造形とは比べるべくもありません。
Technnicといえば期待のギミックにかんしては、前輪のサスペンション周りのフィーチャーが組むのも動かすのも手応えがあり十分に楽しめます。ステアリングはレバーによるリンク式で舵角も小さく面白みのないものですが、特筆すべき点が2つあります。1つはこのショートカット部品です。メスのボール・ジョイント2つ(ウイッシュボーンとのリンク)と、オスのボール・ジョイント(ステアリング・レバーへのリンク)と車軸のハブの四つの機能がひとつにまとまっています。これがあればハブ周りはとてもコンパクトにまとめることができます。もう1つはキャスターがついていることです。このおかげで直進性があります。多分公園のすべりだいの上から走らせてみてもちゃんと下まで届くのではないでしょうか。逆に後ろ向きに進むときはステアリングが暴れます。
一方、後輪はあまり面白くありません。デフギアがなく、水平対抗2気筒のエンジンと連結されているのは左側だけです。スプリングも1本しかついていません。フィーチャーは寂しいですが、本物の4輪バイクもオフロード専用のものはデフギアがないようですし、後輪はスイングアームで保持するため強度がもてばモノ・サスペンションもありそうです。でも、エンジンが軸下にマウントされているのは変です。フレームがクレードルになっていないのはバックボーンフレームと解釈できますが、軸下にマウントするのはありえない構成です。ここはユニバーサルジョイントを一個奢ってほしかったところで、このモデルで私が最も変だと思うところです。
余談ですが、このモデルのタイヤはよくあるもののように見えます。オフロード・タイヤとしては典型的な形です。でも、このモデルから登場したタイヤだとEuro BricksのBlack Birdさんのレビューに書かれていました。R38のタイヤはあったのですが、R34のは今までなかったそうです。レビューで指摘されているとおり、わざわざ型を起こしてまで10%小さいタイヤを作る意図はなんでしょうね。ホイール径は同じですし。
まとめですが、ステッカーを含めたスタイリングが気に入って買うのであれば満足感があるのではないでしょうか。とてもスピード感があります。一方、Technic度はまあまあです。足回りがしっかりしていてまっすく走るので、大きな坂を作って転がしてみると楽しいのではないかと思います。クリアランスも大きいので、襖でジャンプ台を作って転がしてみると結構飛ぶかもしれません。
ちなみにお腹はこんな感じです。
- 造形:★★★☆☆
- ビルド:★★★★☆
- techninc度:★★★☆☆
- 遊び:★★★★☆